読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

La hauteur chante ce qu'on parle dans la profondeur

メモとしてのブログ。ルーマニアの詩人たちに関心があります。

日本のアヴァンギャルド

日本 前衛

1920年代の日本のアヴァンギャルドについてのメモ。日本の前衛もまた政治に接続していく。ところで、この時期、一方には詩があり、他方には「俳句」はあったのだろうか? 当時の日本における、文学ジャンルの受容について興味が出てきた。

 

新興芸術とプロレタリア美術

1920-30年代に日本を席巻した社会主義共産主義運動のなかから生まれた、労働をテーマにした左翼的な美術運動。1924年10月に「未来派美術協会」や「マヴォ」らのメンバーによって「三科」がつくられた。

翌25年そのメンバーは、すでにあった「日本プロレタリア文芸連盟」に美術部(R.A.)として参加し、28年から32年まで「プロレタリア美術」展を開いた。中心となって活躍した美術家の岡本唐貴は「プロレタリア美術とは、第一、プロレタリアートの手をもつて造られた美術である。第二、そしてプロレタリアートに依つて見られる美術である」と、著書『プロレタリア美術とは何か』(1930)で述べている。

岡本らは28年に上野の東京府美術館で「第1回プロレタリア美術大展覧会」を開いた。こうしたプロレタリア美術として発表された作品は、労働者のデモやストライキ、働く場であった工場などを表現した油絵や彫刻、そしてポスターであり、プロパガンダの要素を強く含んでいた。東京以外での地方都市でも巡回展が開かれ、また、ロシア(ソヴィエト連邦)で展覧会を開催したり、作家や作品の往来といった交流も図っていた。しかし、日本共産党の検挙や治安維持法の改正、警察による弾圧などを背景に、34年にプロレタリア美術運動は終息した。

参考)村山知義『プロレタリア美術のために』、岡本唐貴『プロレタリア美術とは何か』


政治に近づかなかった新興芸術

(1)純粋芸術志向の一団

・仲田定之助の「ブーベンコップのヴィナス」のような洗練された構成物を求める傾向
・「単位三科」の成立
・村田実(映画監督)、仲田定之助、中原実、大浦周蔵、岡村蚊象、玉村善之助、山崎清
・仲田は、岡村蚊象とともに「ファリフォトン舞台形象」を実現。人間の登場しない、ファルベ(色彩)、リヒト(光)、フォルム(形態)そしてトン(音響)による抽象的な舞台を目指す。(『大正期新興美術資料集成』、14頁)
・さらに、「単位三科」は最新のメディアのひとつであった、ラジオ放送にさえ挑戦した。

(2)ダダ・アナーキズム的な色合い

・岡田龍夫が中心。ネオ・ダダ期。
・新しい作家たちの登場。
→一号限りの雑誌『NNK』(1926年12月)を創刊、工芸家集団の工人社で信田洋らと一時期活動を共にすることになる柳川槐人、関西に舞台を移して活動した牧寿雄、あるいはほとんど関連が不明の野呂英夫。

・理想展(横井弘三が中心)
:「三科」解体後の若い作家、「マヴォ」残党もほとんど顔を見せていた。しかし、運動を盛り上げ、支える主要な担い手とはなりえないのであった。この理想展は第一回が実質的に最終回であり、第二回も開催されたが、小規模なものとして終わった。

 

岡田龍夫について

『形成画報』

大正期新興美術運動の末尾を飾るタブロイド判芸術雑誌。1928(昭和3)年、かつてマヴォのメンバーであった岡田龍夫の個人出版社である形成画報社より発行。「マヴォ改題」という文字を表紙に打ち出し、マヴォの再興を目指したが、1号のみで休刊した。

内容はマヴォの仲間だった者たちによる構成物の図版掲載、そして、岡田によるリノカット版画10数点を収録。岡田の版画は、アメリカの写真家チャールズ・シーラーによる工場風景やドイツ映画『メトロポリス』のワンシーンなどを翻案したもので、モノクロームのダイナミックな表現を行なっている。

同時期、岡田はアナキスト詩人たちの雑誌『悪い仲間』(2巻10号より『文芸ビルデング』と改題)などにもリノカット版画を提供していた。そのほか、28年には札幌のアナキスト詩人たちのグループ・ネヴォ(マヴォをもじったもの)で、岡田が「造型舞踊会」を開催し、半裸で前衛的なダンスを踊ったことが知られる。
http://artscape.jp/artword/index.php/%E3%80%8E%E5%BD%A2%E6%88%90%E7%94%BB%E5%A0%B1%E3%80%8F%E5%B2%A1%E7%94%B0%E9%BE%8D%E5%A4%AB

新興期の雑誌

・「マヴォ
・「横顔」
・「三科」
・「造型」
・「文芸市場」※柳瀬正夢装填
・「ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム」


その他

東郷青児村山知義
・神原泰と表現主義キュビスム
・ワルワーラ・ブブノワ、「版画」、1925年、リトグラフ亜鉛凸版、紙 45.0×32.6cm 特殊製紙株式会社
・柳川槐人とリノカット
・『死刑宣告』と岡田龍夫の装填
→岡田龍夫のリノカット
・岡田龍夫装丁 斉藤秀雄詩集 『蒼ざめた童貞狂』 1926年
・原弘『吾輩は否定する 1930』 1926年